MUNI CARPETS

Life with MUNI

2022年10月10日

ご夫婦のご結婚記念にMUNIをお求めくださったK様。
お求め頂いたのは、今年35周年を迎えたMUNIが創業してまだ数年の頃です。


27年の年月を経て、ご自宅のご新築に際し新たなカーペットをお玄関に迎え入れてくださり、お写真とともに、素敵なストーリーをお寄せくださいましたのでご紹介をいたします。
K様ご家族のものがたりの傍らにいつもMUNIがあったことに想いを馳せます。
そして、「モノ」を超えてご家族の一員として愛着を持ってくださっている様子がうかがえ、スタッフとして心から嬉しく拝読しました。
K様、こちらこそ、今後ともよろしくお願い申し上げます。

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(K様からのお手紙)

「我が家に来てくれた三つ目のMUNI♪
これからまた長い時間を一緒に過ごせるのが嬉しいです。
玄関にMUNIが在ることで、行ってらっしゃいと、お帰りなさいがものすごい存在感な感覚です。

27年前、私達夫婦の門出の記念としてMUNIのカーペットを購入させて頂き、二人の息子を授かり夢中で育てて来た二十数年…。

二人とも成人し、巣立って行く年齢となる今日この頃。
新たにもうひとつMUNIが生活に加わってくれ、癒しや勇気を与えてくれます。

長いご縁に感謝します。
またこれからもどうぞよろしくお願いします。」

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news letter vol.35 : オリエンタルカーペット鑑賞のツボ

2022年10月1日

MUNIでは、月に1度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。

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 “オリエンタルカーペットを鑑賞する”という文化は、元々は欧米に始まります。

100年以上前に作られたアンティークカーペットに見られる、機械や化学染料を使わず丁寧に作られた「染織の美」は、絵画やその他の美術品と並ぶ見どころがあるのです。
デザインはもとより、手紡ぎの糸ならではの味わいや日光による退色や、色の深まりなどです。

 このように美術工芸品の美を愛でる習慣は日本でもあり、古来より、手描きの染付や手びねりの茶碗の、ひとつひとつの味わいを鑑賞しました。
偶然によって生まれた釉薬の変化やヒビなどを、茶人たちは「景色」として愛で、相応しい【銘】をつけました。そしてそれが、鑑賞におけるひとつのポイントともなります。なんとも風流で粋な文化です。


|手仕事によるものづくりを続ける理由

 私どもMUNI CARPETSが、明末期から清初期の宮廷絨毯=クラシカル・チャイニーズラグの伝統を引き継ぐことは、往時の製法により生みだされる「偶然性の美」、「人智を超えた美」を追求することに他なりません。

 MUNIの絨毯は、プレミアムウールを手で紡ぎ、天然の染料で染め、手結びにより織り上げていることはかねてよりお伝えしているとおりですが、それらを採用している理由について、これまでなかなかお伝えする機会がありませんでした。

 それらを採用しているのは、単に往時の製法であるからということ以上に、ひとつひとつ表情の異なる、美しい個性ある作品を生むために必要なプロセスであるからです。  

 手紡ぎした糸には太細が生まれるため、織りあがった絨毯に美しい「景色」を与えます。均一的な量産のプロダクトに囲まれているいま、いびつ、とか、均一でない、と感じられるものがあるかも知れません。
しかしながら、私どもMUNIが目指すところは、画一的で工業的なものづくりではなく、ひとつひとつ違って当然の、そしてそれが魅力である、手仕事によるものづくりであり、それにより生まれる「美」なのです。

 偶然性により生まれる「景色」。それこそが、今回お伝えしたい、鑑賞のツボです。

|其の一: アブラッシュという景色

 「景色」といっても、ではどういった「景色」が見どころなのかを、具体的にお伝えしていきましょう。

 

 画像は、ホワイトのフィールドに藍の草龍のデザイン(Design No.041(801))。
潔い白と藍のコントラストが人気のデザインですが、ただ白いだけではありません。

この作品のフィールドに、横にうっすらと筋状に入る「景色」がご覧になれますか?この「景色」は手紡ぎした糸の太細が生む現象で、【アブラッシュ】と呼ばれます。
一部に入ることもあれば、全体に入ることもあります。

 染色用語なので普段あまり耳にすることがない言葉かも知れませんが、アブラッシュは手織り絨毯の証。
欧米では、アブラッシュが入っていることが上質な絨毯の評価ともなります。

 MUNIの絨毯は天然の染料で染めあげるため、温度・湿度などにより染め上がりの色はその時々の一期一会。
一期一会の色が糸の太い箇所、細い箇所に入り込み、独特の美しいアブラッシュとなります。
機械織りでは決して生まれないものであり、自然の賜物なので、アブラッシュがどのように出るかは、織りあがってみないと判りません。
まさに「神のみぞ知る」、偶然性により生まれる景色です。

 とりわけ、Design No.041(801)のフィールドは、染料で染めていない羊の原毛を使っています。
羊には、真っ白だけでなく、グレイやブラウン、黒い毛など様々な種類が居ますね?
白い羊であっても、グレイやブラウンの毛が混じっており、織りあがったときに得も言われぬアブラッシュが浮かび上がります。

このホワイトのフィールドの景色に、【刷毛目】【三島手】【雲海】あるいは【石庭】などの銘がついていたら、、、どうでしょう?
龍がより生き生きと見えませんか?



 もう一枚、貴重なアブラッシュが出ている作品をご紹介してみましょう。
Design No.009Fです。
この一枚には、淡いピンク色のフィールドに太陽の光を受けてきらきらと揺らぐ【水面(みなも)】のような、なんともレアなアブラッシュが生まれています。
使い込んでいくほどに艶が増し、よりきらきらとした表情になっていく一枚です。

フィールドの部分を拡大して見てみます。

【水面】がご覧いただけるでしょうか。
優しい印象のこの作品には、【水面の蓮】という銘をつけました。
この銘から、皆さんならどんな季節のどんな情景を思い浮かべますか?



其の二: 天然染料の経年変化の美しさ

 次にご紹介する鑑賞のツボは、「天然染料の経年変化」です。

目にも鮮やかなこちらの作品。
ギャラリーで新品の状態を目にしたら、「んーこれは好みじゃないかな」と候補から外される方が多いかも知れません。

ところがこの色の取り合わせは、10年後、驚く変化を見せます。
かなり鮮やかな印象を与えている珊瑚のようなオレンジは、柿色のように。
元気良い黄色は、落ち着きのある象牙のように。
すべての色が溶け合い、まるで天真爛漫な少女が、しっとりした大人の女性に成長するかのようです。

どの作品もそうですが、新品の状態は【未完成】なんです、と店頭でよくお伝えしています。使っていくことで育てて頂くのです、と。
艶や柔らかさもそうですが、色合いについては、10年後、20年後の美しい変化を狙って制作しているのです。
ですから、新品の状態でご覧になっている色は、最終形ではありません。

「この色はどのように変化していくのかな。」と、未来の美しい姿を想像しながらご覧になってみてください。

|100年後のアンティークを見据えて

 100年未満のものはヴィンテージ。
100年を越えないとアンティークと呼べないと言います。

1987年にスタートしたMUNIは、現在創業35年。
創業当初の作品もいまはまだ「ヴィンテージ」かも知れません。

しかし、MUNIのものづくりは、「アンティーク」を見据えています。
確固としたものづくりが証明されるのは、100年後。

ただ古いだけのアンティークではなく、美しく、かっこいいアンティークを目指して。
今から楽しみでなりません。

400年前のアンティークカーペット (MUNI所蔵)



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倉敷店臨時休業のお知らせ

2022年9月19日

本日19日は台風14号接近のため臨時休業とさせていただきます。

何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

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ご納品事例 Life with MUNI

2022年9月15日

この度リフォームされたご自宅のお玄関へ、心地よい重厚感漂う藍色ベースの、魔除けを意味する草龍文様のカーペットをお選びくださったS様。

いくつもMUNI CARPETSをご愛用いただいておりますが、最初の出会いは遡ること6年前、葵KYOTO STAYでのこと。

その時はどこのブランドなのかなど何も分からず、しかしながらずっとお心に留めてくださったそうです。

そんな中、ご子息の受験で訪れられた倉敷で、美観地区を散策されていると…なんと、偶然にも念願のMUNIと巡り合われたのです!

その際には、記念すべき1枚目として、この度お選びいただいた作品と同じ龍がモチーフのエントランスラグをお迎えくださいました。

とても優しい物腰で、素敵な想い出をお話しくださるS様。

そんなS様のリフォームのこだわりは、“古民家そのままの雰囲気を残すこと、新しくしすぎないこと”。

そのお言葉通り、古民家本来の温かみのある空間に、素晴らしい民芸の作品やアンティーク、そしてモダンな家具とを一つにまとめるように蓮文様のMUNI CARPETSをしつらえてくださいました。

手仕事のものを丁寧に慈しむS様だからこそのセンスがそこかしこに散りばめられた唯一無二の空間は、全てに目が行届き美しい空間に創り上げられています。

美しく時を重ねた古民家と共に、MUNI CARPETSもS様の暮らしに末長く寄り添って行けましたら大変嬉しく思います。

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news letter vol.34 : 絨毯用語の基礎知識

2022年9月1日

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  日頃、店頭では皆さまにご案内する際、専門的になり過ぎない平易なことばでご説明するように努めておりますが、中国を含めオリエンタルカーペットには、一枚のカーペットのデザインを構成する要素の名称があります。
手織り絨毯(オリエンタルカーペット)をよりお愉しみいただけますよう、改めて図解してみようと思います。

一枚を構成する要素を表す用語

【A】 奎龍 (クェロン)メダリオン

中国やオリエントのラグの構図に最も頻繁に見られる、中心に位置する大きな円形のモチーフで、中心に位置する大きな円形のモチーフで、作品の物語の主題を示すポイントを成します。
チャイニーズラグの場合、サイズバランスによって、奎龍 (クェロン)|メダリオンが3メダル、5メダルと、数がプラスされます。

【B】雲角 (ユィンシャオ) |コーナー

17世紀頃から「コーナー」が用いられるようになり、奎龍(クェロン)|メダリオンの意匠を繰り返すデザインが多くみられます。奎龍(クェロン)|メダリオンの意匠を繰り返すデザインが多くみられます。

【C】 外辺 (ワイビェン) | アウターボーダー

一番外側の縁の部分。色や太さによって全体の調子を整える大切な部分です。

【D】 大辺 (ダービェン) |メインボーダー

額縁として、作品をより美しく引き立てる要素となります。こちらのデザインによって、力強さ、エレガントさ、などの方向性が決まります。

【E】 小辺 (シャオビェン) | セカンドボーダー

大辺(ダービェン)|メインボーダーを引き立たせ、かつディティールをより繊細に表現します。作品自体のサイズが大きくなると、 (第三)サードボーダー、(第四)フォースボーダーと追加されていきます。

【F】堂子 (タンヅ)  |フィールド

中心の奎龍(クェロン)|メダリオンの主題を受けて、背景となる部分。唐草、万字文といった幾何学文様など。奎龍(クェロン)が無い場合には、堂子(タンヅ) |フィールド自体が主題になることもあります。中国段通の場合は、無地で表す場合も多々あり、余白のバランスを重んじる美意識が古来から受け継がれています。

【G】穂子 (スエヅ) | フリンジ

両側の房。手織り絨毯の場合、織機にかけた経糸を残した部分。
機械織りの場合は、後からフリンジだけをつける場合もありますが、この穂子(スエヅ)|フリンジがあることが、手織り絨毯の証でもあります。

 

その他の用語

【絨毯(じゅうたん)】

 「手織り」と「機械織り」の区別はなく曖昧ですが、手織りの場合は「手織り絨毯」という表記となります。

【段通(だんつう)】

中国から伝わった「毯子(タンヅ)」が語源であり、中国段通以外でも手織り絨毯を示す言葉として用いられています。
機械織りの絨毯を「段通」と呼ぶことはなく、MUNI CARPETSも、日本でいうところの緞通のカテゴリーに属します。

【カーペット?ラグ?】

欧米においてはサイズによって、大きいものを「カーペット」、小さいものを「ラグ」と呼び分けていますが、その境はあやふやです。
また、手織りと機械織りとの区別は特になく、手織りの場合は「Hand Knotted Carpets & Rugs」、「Oriental Carpets & Rugs」などと表記されます。

【段数 |ノット(Knot)数】

織り(結び)の数または密度を表す言葉で、中国段通の場合日本では「段(だん)」、中国では「道(タオ)」と表します。例えば90段であれば1尺(約30.5cm)の幅に90個結び込まれていることを表します。

また、西洋では1平方インチまたは1平方フィートの面積に対し何ノット:100ノット(Knots)/sqinch、22500ノット(Knots)/sqfeet と面積あたりの密度を表します。

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システムメンテナンスに伴うOnline Store一時停止のお知らせ

2022年8月28日

日頃よりMUNI CARPETSをご愛顧いただき、誠に有難うございます。

システムメンテナンスに伴い、下記の期間MUNI CARPETS Online Storeのサービスを停止いたします。

お客様にはご迷惑並びにご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。

停止期間

2022年9月1日(木) 00:00〜2日24:00

※メンテナンスの進行状況により、期間が変更になる場合がございます。

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news letter vol.33 : 時空を越えた宮廷絨毯

2022年8月1日

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2021年秋、クリスティーズに登場した五爪の龍の絨毯

時空を越えて

 2021年秋、世界的に有名なオークションハウス・クリスティーズ(CHRISTIE’S)にて、話題騒然となったオークションがフランス・パリで開催されました。日本でも報道されましたのでご記憶の方もいらっしゃるでしょう。  競売に出されたのは、縦4メートル、横5メートル、明代に紫禁城の皇帝の玉座の床を飾った五爪の龍の絨毯。中国の皇帝が「天の子」であることを象徴するモチーフです。  その絨毯は、1920年にアメリカ人夫妻が中国に新婚旅行に行った際に購入し、その後1987年にスイスの個人コレクターが購入して以来、34年ぶりに公の場にその姿を現したもの。落札価格は、事前予想を大幅に上回る774万ドル(約8億8千400万円)にまで吊り上がり、大きな話題となりました。過去に競り落とされたオリエンタルカーペットの最高額は170万ドル(約2億円)でしたから、今回の落札額がいかに破格かお判りいただけると思います。

紫禁城を飾っていた宮廷絨毯

参考画像: 玉座の足元に龍の絨毯が見える肖像画。


 世界遺産である北京の故宮は、かつて「紫禁城(The Forbidden City)」と呼ばれ、明朝(1368~1644)から清朝の滅亡のときまで、24人の歴代皇帝が暮らした居住空間であり、政治の中心でもあり、その栄華は「宇宙の中心」とまで讃えられていました。しかしながら一般のひとびとが立ち入ることはできなかったため、72万平方メートル(東京ドーム約15個分)の敷地に建つ世界最大級の皇宮は、長きにわたって外界の目から閉ざされていました。  

 1900年に起きた義和団事件の混乱直後の1901年、清朝が滅びる直前の紫禁城の建築調査に入ったのは、日本の東京帝国大学でした。その調査団に同行した写真家・小川 一真(おがわかずまさ)氏により、聖域とされていた紫禁城の内部の様子が初めて明らかになりました。(小川 一真氏は、日清・日露戦争、明治天皇の大喪の礼など、日本の歴史を伝える多くの被写体をとらえてきた写真家であり、有名なところでは、以前、千円札に描かれていた夏目漱石の写真があります。) 

 その記録写真により、紫禁城の内部は、真冬の北京の厳しい寒さをしのぐため、厚手のウール(羊毛)絨毯で覆われていたことが判りました。紫禁城には、その内装をつくるための専用の工房があり、絨毯は柱などの造作に合わせてくり抜き、各部屋に敷き詰められていたのです。 

1901年 小川一真氏による紫禁城内部の写真。
寒さから身を守るための絨毯が敷き詰められている。

 紫禁城を象徴し、王朝が交代しても大切にされるほどの印象的なアイテムであったこれらの宮廷絨毯は、義和団事件、のちの日中戦争、文化大革命などで、大半が失われることとなりますが、1910年代にその一部は、欧米や日本の古美術商の仲介により欧米のマーケットに紹介されるやいなや、アメリカの銀行家JP Morganや、Tiffany & Co.社の経営者チャールズ・L・ティファニーの息子である芸術家ルイス・カムフォート・ティファニーなどの社交会の人々によって買い取られます。

  これが世界にその存在と芸術性を知らしめるきっかけともなり、宮廷絨毯の美しさは世界のセレブリティーの垂涎の的となって行きました。現在では、世界的に現存する16〜18世紀に制作された宮廷絨毯(クラシカルチャイニーズ・ラグ)は非常に僅かであり、それらはメトロポリタン美術館やワシントンのテキスタイル美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館などの欧米の美術館に収蔵されています。

世界の宝を後世に  

 それから約100年近く経った2000年には、46枚の宮廷絨毯が紫禁城の元配膳室であった部屋から発見されるという世紀の大発見がありました。そして、そのうち数枚が16〜18世紀に制作された宮廷絨毯(クラシカルチャイニーズ・ラグ)だったのです。
これは、イギリス人オリエンタルラグ蒐集家であり、オリエンタルラグの専門誌「HALI」のパブリッシャーでもあるMichel Fransesの強い働きかけにより発見に至ったもので、2005年にドイツのケルンで開催されたクラシカルチャイニーズ・ラグの展覧会において、世界に向けて発表されました。

そのシンポジウムに参加していたMUNIオーナーの楠戸は、大半が虫喰いや色褪せがひどく、良い状態で保存されているものはほとんどないことを知ります。楠戸はそのことをパートナーの張力新(Bill Zhang)氏に話し、MUNIが研究してきた伝統技術をこの世界の宝の修復に活かせないかと思いついたのでした。

            撮影 張力新氏


 そしてその後、楠戸は「故宮博物院 絨毯修復準備室」を立ち上げ、張力新(Bill Zhang)氏、工房の技術者と楠戸は実際に故宮博物院に絨毯の調査に入り、絨毯のコンディションや、修復の工程など学芸員との打ち合わせを進めて行きました。

2006年、北京故宮博物院にて。工房の技術者と学芸員の苑女史(中央)と。

北京故宮博物院 研究室にて。
右から2番目:工房パートナーBill Zhang、右端:オーナー楠戸 謙二。
左端:学芸員 苑女史。

 

 ところがそのような中で、残念なことに中国側の方針が変わることによって、そのプロジェクトは頓挫してしまうのでした。   

 しかし、現在でも二人はその想いを諦めておらず、将来必ずその夢を叶えるべく30余年経った今でも、技術の研鑽を続けています。そして、その積み重ねた技術こそが、今のMUNI CARPETSに余す所なく注ぎ込まれているのです。 

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ご納品事例

2022年7月10日

7月4日、東京の広尾に老四川料理「飄香(ピャオシャン)」さんの新しいお店がオープンしました。
そのオープンにあたり、光栄なことに、美術館の絵画のようにMUNIの藍濃淡の作品を設えてくださいましたのでご紹介させていただきます。

飄香さんはこれまでにも銀座や六本木など、都内に店舗展開されており、MUNIオーナーの楠戸もシェフ井桁さんの料理の大ファンです。

その井桁さんが満を持してオープンされた新店舗は、中国成都で習得された「本場四川の味の伝承」を守りながらも、これまでのご経験と技術の全てを昇華させたお店作りをコンセプトとされ、壁に飾るMUNIの作品も、伝統的ながらも新しさ(モダンさ)も持ち合わせるデザインをセレクトされました。

コンクリート打ちっぱなしの壁、青々とした竹がライトアップされた新店舗は、空間の半分を占めるであろうオープンキッチンが最も印象的で、井桁シェフの意気込みを強く思わせます。

メニューはこだわりのディナーコースのみ。 プライベートキッチンに招かれたような店内で、化学調味料不使用にこだわった、“日本人が知らない本当の四川料理”をご堪能下さい。

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MUNI南青山本店「MUNI de night」開催のお知らせ

2022年7月9日

閉店後の夕暮れどき 日が落ちて
一層美しく艶めくカーペットたちを眺める時間は
いつまでもそこにいたくなるほど心地よい
スタッフだけが知っている、至福のひとときです。

そんな私たちの楽しみを皆様も 
ご一緒に体験してみませんか?

ささやかですが 
冷えたドリンクもご用意しておりますので、
ゆるくリラックスしたMUNI 南青山本店の夜を
お楽しみください。

当日はオーナーもおります。
いつもはあまり聞けない話ができるチャンスもあるかもしれません

心より お待ちしております

***MUNI de Night 詳細***
 日時     2022年7月30日(土)

        OPEN 18時/CLOSE 21時
 ところ    MUNI南青山本店 
 会費     無料
 事前申込制  (定員あり)
 お申込方法
  電話    (03)5414-1362
  またはMail gallery@muni.co.jp 

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news letter vol.32 : 汝窯青磁のBLUE

2022年7月1日

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青磁水仙盆(汝窯 北宋時代)

 先日、シルクロード 蘭州にあるMUNIの工房から、染め上がった糸の写真とともに青磁の写真が送られてきました。“汝窯(じょよう)青磁” の写真です。  この汝窯青磁の色は「天青色(てんせいしょく)」と呼ばれ、中国の皇帝が理想の青磁の色を表現した、「雨過天青雲破処」(雨上がりの空の青さ。それも、雲が破れるようにして晴れ始めた、そのあたりの青さ)ということばから来ています。雨上がりのしっとりと水気を含んだ空の色、と称されます。その鉱物のような、玉(ぎょく)のように穏やかで柔和な汝窯青磁のブルーは、今なお青磁の世界で理想の色とされています。

汝窯とは?

 汝窯(じょよう)とは、正式には汝官窯と呼ばれ、芸術の盛期、北宋時代(960~1127年)の首都であった汴京(べんけい。現在の開封)に近い汝州(じょしゅう。河南省中西部)にて宮廷の命によって作られた青磁のための窯の名前です。

 北宋時代は陶磁器生産が開花し成熟期を迎え、その釉には瑪瑙(めのう)の粉を入れたといいます。
耀州窯(ようしゅうよう)や龍泉窯(りゅうせんよう)などほかの青磁に比べて、しっとりと淡い色が汝窯青磁の特徴です。
無駄なく洗練された形、淡い空に吸い込まれるような色、気品ある穏やかで優美な佇まいは、中国芸術の頂点とも言われる北宋時代を象徴する陶磁器、ひいては陶磁器界のトップとして評価されています。

 かの乾隆帝も北宋の汝窯青磁に魅せられたひとりで、乾隆帝が苦心して集めた21点が台北 國立故宮博物院に収蔵されていますが、それらを含めて世界に90点余りしか現存しないと言われるたいへん稀少なものです。
日本の伝統文化においても、茶道、華道、香道などのなかで格式高い焼き物とされ、多くのひとびとの心を惹きつけてきました。

 青磁は、原材料となる胎土や釉薬に含まれる鉄分が焼成時の還元状態によって青色を呈するものですが、同じ窯のものであっても焼き上がりの表情が異り、焼き上がりの色調を一定に保つことはいつの時代も、どの窯においても難しかったようです。
釉中の無数の気泡が光を乱反射して緑、黄色、白と様々な色を帯びる複雑な色は、「青」の一語では表せません。

汝窯BLUE

 MUNIのブルーというと深い藍色、鉄紺(てつこん)を思い浮かべる方が多いと思いますが、実はMUNIの真骨頂であるブルーは、汝窯青磁の色を狙った、淡くやや緑がかった色 、”汝窯ブルー”なのです。 MUNIが目指す”汝窯ブルー”は、蓬灰、麩、酒、などを用い藍を自然発酵させて染色する古来の染色法、“灰汁建て(あくだて)法” によってのみ得られる、緑、黄、白と様々な色を内包したブルーなのです。糸を染める職人たちは、世界の陶磁器の頂点である汝窯青磁のブルーをイメージしながら、この色を染め出しています。

汝窯ブルーに染め上がった糸

 微妙な温度や湿度の違いにより染め色が変わってくる苦労は、青磁の陶工の苦労と同じなのかも知れません。それだけに、洗いを繰り返し乾燥させたのち、狙った色が現れたときの感動はひとしおです。 染め糸と一緒に汝窯青磁の画像を送ってきた心情に想いを馳せるとともに、常に理想を目指す職人たちに敬意を表わさずにはいられません。

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