news letter vol.21: カーペットにまつわるお話 ~世界で愛される装飾文様 “雷文”~
2021年8月1日
MUNIでは、月に1度から2度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。
この文様は、【雷文】(らいもん)と呼ばれる文様であり、雷=稲妻を表しています。
単独ではなく、連続させてボーダー(縁取り)の装飾文様として用いられます。
古では恵みの雨を天に願ったことから、稲妻は雨をもたらし、万物への恵みをもたらすという意味が込められています。
|ヨーロッパにおける雷文
雷文は、中国はもとより、ギリシア、ローマの建築物や調度品などに多く取り入れられている普遍的なもので、
“Greek key(グリーク・キー)”または“Meander (メアンダー)”と呼ばれ、世界的に愛されている装飾文様です。
新石器時代にバルカン地方のドナウ川流域のトリポリエ文化・ディミニ文化において土器の装飾文様として始まり、
ギリシアの幾何学紋様として開花しました。
“Greek key”または“Meander” が意味するのは、雷の場合もあれば、基本方位(東西南北)や四季を表したり、
あるいは、友情・絆、永遠を表す場合もあります。
「萬字」文様と組み合わさっているもの(swastika meander pattern)も多く見られます。
| 日本における雷文
1910年に日本で最初の中華そば(ラーメン)店がオープンしたときのこと。
当初は和食用のどんぶりを兼用していたらしいのですが、次第にラーメン人気が広がり、浅草・かっぱ橋にある九谷焼を扱う陶器卸専門店に「中華らしい器を作って欲しい」と依頼したところ、陶器店の店主が、試みで器の淵に【雷文】を施したのだそうです。すると、ラーメンの普及とともに、雷文を施したどんぶりも日本中に広まったと聞きました。
このことが発端となり、日本においては、「雷文=ラーメン」という図式がすっかり定着しているのですから、驚くべき影響力です。
しかしながら、ラーメンの普及の遥か前、室町時代から、日本では家紋として雷文が使われていました。そのバリエーションは、48種にも及びます。家紋は日本が誇る素晴らしいデザイン文化ですね。その発想、完成度の高さ、そしてユーモアには目を見張るものがあります。
| クラシカルチャイニーズラグにおける雷文
改めて、MUNIのカーペットにおける雷文を見てみましょう。
カーペットを引き締めるボーダー(縁取り)として、こちらにも、あちらにも、雷文。太いものあり、細いものもあり。
その全てに、豊穣への願いが込められています。
| 番外編
先日、東京の浅草に行きましたら、橋の欄干に雷文があり、ついパチリと撮りました。有名な雷門(かみなりもん)の近くなので、その繋がりかも知れません。
街中で気にしながら見ていると、日本でも意外にたくさんの雷文を発見することが出来ます。
この夏、ゴロゴロゴロゴロ、、、と雷鳴が轟いたら、豊穣への祈りを込めた雷文を思い浮かべてください。
今回も、最後までお読み頂き、有難うございました。
■2021年2月1日号にて、「文様のあれこれ」vol.1の特集を組みました。
併せてご覧くださいませ。
https://muni.co.jp/blog/4220/
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【青山店】7/23(金)オリンピック開会式に伴う交通規制について
2021年7月22日
7月23日(金)は、東京オリンピック開会式開催に伴い、
オリンピックスタジアム周辺道路での交通規制が行われます。
MUNI南青山本店は通常通り営業しておりますが、ご来店の際には十分ご留意くださいませ。
https://olympics.com/tokyo-2020/ja/news/transportation-notice/tra-ceremony
ご納品事例 Life With MUNI
2021年7月19日
梅雨明けの夏空の日、東京都内のお寺様へご納品に伺いました。
超高層ビルの谷間に佇むこのお寺は、山門をくぐった途端不思議なほどに涼やかな風が吹き抜けており、
数メートル向こうにある幹線道路とは明らかに体感温度が違いました。
この度は、玄関から本堂へと通じる廊下に合わせてサイズオーダーでのご注文を頂きました。
黒光りするほどに磨かれた床に明るい藍濃淡の蓮花のランナーカーペットを敷くことで、
重厚感はそのままに、その空間には瑞々しい若さが加わりました。
オーダーをお受けしたとき、歴史あるお寺様の空間にはやや明るすぎるのでは?
という一抹の懸念があったのですが、
ご納品の最中、たくさんの若いお坊さんたちがお忙しく行き来され、
その方々に、カーペットの明るい藍濃淡がとても良くお似合いだったのです。
お客様は、日常最もよくこのカーペットの上を通るであろう若いお坊さんたちのお顔を想い浮かべながら
この色を選ばれたのだろうと合点しました。
東京ではちょうど、ご先祖様をお迎えするお盆の期間。
オーダーをお受けした1年前も、今回のご納品の際も、
カーペットのモチーフである「蓮」が真っ盛りの季節であったことを嬉しく思いました。
気持ちよく整えられた境内にも良い「気」が満ち溢れており、
個人的にもまた訪れてみたいオアシスのようなお寺です。
夏のフェアのご案内
2021年7月18日
MUNI倉敷店および南青山店では、7月15日(木)から7月31日(土)まで、
夏の特別プラン「36回分割無金利フェア」を開催いたします。
ご来店が難しい場合にも、メールやお電話でのご対応もさせて頂きますのでお気軽にご相談ください。
詳細につきましては、各店舗へお問い合わせくださいますようお願い致します。
■なお、コロナ感染拡大防止対策と致しまして、店頭はお一組様ごとのご案内とさせていただきます。
ご来店の際は、各店舗への事前のご予約を頂けますとスムーズにご案内させて頂けます。
万一、お客様が重なった場合にはお待ち頂くこともございますので予めご了承くださいませ。
【倉敷店】 TEL 086-426-6226
営業時間: 10:00~18:00
フェア中休業日: 7/20日(火)、7/21日(水)、7/27日(火)、7/28日(水)
【南青山店】 TEL 03-5414-1362
営業時間: 11:00~18:00
フェア中休業日: 7/20日(火)、7/27日(火)
news letter vol.20: カーペットにまつわる話 ~一枚のカーペットが出来るまで~
2021年7月1日
MUNIでは、月に1度から2度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。
MUNI CARPETSは “モダン・シノワズリ” をコンセプトに、東洋の美の源流である中国の明朝末期から清朝初期に作られた最高峰の絨毯(クラシカル・チャイニーズ・ラグ)の製法と伝統美を蘇らせ、現代に合わせてアップデートしています。
そのなかでもとりわけ、伝統文化の継承と技術の向上を目的とし、図案、染色、織りの各分野で専門チームを組み、明代・清代の技術や意匠を調査研究し、試作にも長い時間をかけて限定作品として特別に制作しているのが、MUNIの「The Imperial Line」です。
Imperial Line のDesign No.125「万歴龍」の制作を例に、一枚のカーペットが出来上がるまでを辿ります。
なかなか旅行が難しいご時世、想像の“ショートツアー”に皆さまをお連れしましょう!
【出逢い・インスピレーション】
MUNI CARPETSのアートディレクションは、一枚一枚すべてオーナー・楠戸謙二が手がけます。
永年に亘り研究を重ねてきたクラシカル・チャイニーズ・ラグの美しさを熟知した上で、楠戸自身の美意識のもと、”クラシック”の中から”モダン”を抽出し「時空を超えた新しさ」をコンセプトとしてディレクションを行っています。
明朝末期から清朝初期のクラシカル・チャイニーズ・ラグの文様を忠実に再現していくにあたり、そのインスピレーションの源は、書籍のなかのモノクロ写真のこともあれば、現存する実物から得ることもあります。
今回例に挙げるDesign No.125 「万歴龍」の場合は後者、実際に北京の紫禁城で使われていた実物でした。
2009年楠戸は、北京の故宮博物院にて、かつて明の王宮を飾っていた巨大なカーペットを目にする僥倖を得ました。それは、時を経てもなお色鮮やかで、いまにも動き出しそうな二匹の龍の文様。五つ爪の龍は、まぎれもなく皇帝が使っていた証です。
この五つ爪の龍を、どうしても自らの手で蘇らせたいと強く思ったのです。
【考証】
この龍のカーペットは果たしてどの年代に作られたものなのか?
時の権力者(皇帝)の好みによって柄行に特徴があるため、同じ年代に作られたであろうカーペットを検証することなどで、時代考証をしていきます。完全な形で残っていることは稀有なため、検証対象は残欠であることもあります。
染料が褪せて判別できない場合には、この部分の文様は何かを探るため、歴史文献にあたらなくてはならないことはしばしばです。
どんな色の何が描かれていたのかが想定されたあとは、果たして何の染料をどのように使ったかの検証です。
【下絵】
全てのデザインは下絵師により実物大の下絵を方眼紙に手書きで制作します。巨大なオリジナルのサイズから、サイズ調整をし、実際床に置いた目線や様々な角度から確認しながら1年から3年の時間をかけ下絵を完成させます。このとき、使う色も書き込んでいきます。下の画像の中にある「973」「801」というのは色見本の番号です。
【染め、織り、仕上げ】
染め出したい色に向け、藍、蘇芳(すおう)、槐(えんじゅ)、梔子(くちなし)など古来用いられてきた植物染料のみを使い、手で紡いだプレミアムウールを染めます。
自然相手ですから、なかなか意図した色が出てくれません。
染めの次の工程は、織り。
MUNI CARPETSの織りは、2000年以上前から受け継がれてきた「手結び」による製法です。
経糸に対してひと結びずつ手結びで織り上げていく、気が遠くなるような作業です。
手結びによるカーペットは、欧米では「最高峰の製法」と言われており、現在でも、この技術を越える製法はありません。
原寸大の図案と、色糸番号指定を細かく記した指示書が織りの職人に手渡され、職人は、指示書に忠実に織り上げていきます。
今回のカーペットのサイズ(183×274cm)の場合、織りだけでも1年近くを要しました。
織り上がったカーペットを機(はた)から降ろしたら、何度も何度も洗い、表面を刃物で整えます。表面を滑らかにするのには一般的に化学薬品や電気器具が使われますが、MUNIでは、ウール本来の色としなやかな質感を損なわないよう、敢えて刃物だけで職人の指先の感覚で整えていきます。
フリンジ(房)を整え、防虫のためのクヌギの樹液を施してようやく完成です。着想から丸4年超。明時代の宮廷の奥深くに眠っていた龍が、現代に活き活きと蘇る、感激の瞬間です。 多くの人の手と膨大な時間の結集により、MUNI CARPETSの制作が成り立っているのです。
* * *
新規お取扱店のお知らせ
2021年6月23日
5月19日(水)兵庫県・芦屋市にMUNI CARPETSをご覧いただけるお取り扱い店
“itten”イッテンがオープンしました。
イッテンは、愛おしくなるものに囲まれた趣味の部屋づくりを提案するお店です。
お客様とのヒヤリングを重ねて、その方自身の好みを描いた楽しい空間をお客様と
一緒に作りあげていきます。
イッテンオーナー・光本敦子さんは、これまでにインテリア、エクステリアを
専門に数多くの住まいづくりを手がけてこられました。イッテンで取り扱う商品
は、光本さん自身が心ときめいた一点ものにこだわっています。美しい壁紙、タイ
ルなどの内装施工をはじめガラスアート、器など、組み合わせによってより輝くア
イテムが揃っています。
MUNIの常設コーナーでは、カーペットを広げて楽しめるスペースが設けられてい
ます。人気デザインがそろい、直営店と同じく靴を脱いで、感触を確かめながらゆっくりとご覧いただけます。
光本さんとの会話を楽しみながら、好みのアイテム探しをお楽しみください。
お近くへお越しの際はぜひともお立ち寄りください。
<itten-イッテン>
兵庫県芦屋市船戸町3-6 ヴァンテージ芦屋106
tel:0797-22-8588
JR芦屋駅から徒歩2分
news letter vol.19: Spice of Life ~あなたの時間にときめきを~ ⑩
2021年6月14日
MUNIでは、毎月2回ペースでメールマガジンをお届けしています。
こちらでもその内容を紹介させていただきます。
Spice of Life ⑩では、「フレンチテイスト」の家具を設えたお部屋にカーペットを取り入れた、「シノワズリ」の空間をテーマにお届けいたします。
フランスのアパルトマンでの余暇の様に、窓辺での読書を楽しんだり、ソファでサングリアをお供にして、心弾む嬉しい時間をつくりましょう。
今回はセッティングと共に文様の意味もしっかりご紹介させていただきますので、お好きな飲み物を片手に、是非、お楽しみください。
◆ Image of space ◆
今回の空間イメージは、フレンチテイストの家具でセッティングされたお部屋のインテリアです。
左側の観葉植物から紫のカーテンまでが 5 m 程、ソファから ART のある壁側までが 4m 程の空間に、家具がゆったりと設えられています。
カーペットは、183 x 274 cm のサイズを合わせました。
文様が持つそれぞれの意味をお読みいただきながら、西洋が憧れた東洋の豊かな精神性や美意識に少し触れると共に、カーペットを組み合わせたお好きなイメージを、是非見つけてみてください。
◆ #1 大胆な蓮唐草文様の No.087 ◆
フレンチ独特の曲線を主体としたエレガントなラインの家具と、ダイナミックで繊細なデザインの No.087 とを合わせました。 No.087 の藍染のモノトーンは、この曲線的な空間にキリッとしたシャープな空気を運び込み、蓮唐草文様のダイナミックな曲線は、家具の曲線としっかりと調和します。 そこには、足元をどっしりと落ち着かせながら華やかさを運び込む「モダンシノワズリ」の空間が生まれることでしょう。
― Information ―
Design No.087
Size 183 x 274 cm
フィールド
【蓮】
蓮は、美しい花を咲かせながら種子を沢山つけることから、繫栄の象徴として人々を魅了し、古より世界中で大切にされてきました。日本では仏教の伝来と共に、清らかさの意味も持つようになり、泥の中から美しい姿を見せる様は、志の高さをも表しています。
【唐草】
終わりなく続くこのモチーフは、永遠を表す幸せの象徴で、他のモチーフと共に用いられることが多い文様です。No.087の様に、蓮花の文様と共にデザインされることで、「幸せで栄えていくように」という蓮花の意味をさらに大きく深くして行きます。
ボーダー
【雷】
天空を駆け抜け激しくつらぬく雷は、守り神の龍の化身として畏怖の念と共に身近にありました。また龍は、雨雲を呼び命の水をもたらすものとして、水神様と呼ばれ、信仰の対象とされてきました。そして、雷の峻厳なその姿は、古くは傑出した人物とも結びつけられてきました。
乾季に乾ききった大地を潤すために訪れる雷の、厳かで力強く時に荒々しいその姿に人々は、到底及ばない自然の力と恵みに、絶対的な力の象徴として龍の姿を見たのでしょう。
■ Dye … 藍
■ Price… ¥JPY 2,634,500 -( with tax )
■ こちら (online store)から色違いにて、より詳しい文様やデザインについてのご紹介をご覧いただけます。
◆ #2 蜀江錦から生まれた No.062 ◆
#2 は、ガラッと色味も雰囲気も変えてみました。
No.062 を設えると、空間には一気にモダンな軽やかさと明るさが運び込まれます。
スッキリとした直線の幾何学文様でデザインされたNo.062 は、猫足の曲線がエレガントなフレンチテイストの家具と組み合わせると、相互に魅力を生かしあって、モダンにシノワズリの空間を彩るでしょう。
― Information ―
Design No.062
Size 183 x 274 cm
■ Pattern
フィールド
【蓮】
濃いベージュで織り上げられた星のような形は、蓮の文様で、繁栄や清浄のほかに、幸せな結婚という意味も持っています。新しく始まる家族への幸福の訪れを願う文様だったのでしょう。
蓮は、インドでは「蓮の上で神々が生まれた」とされ、仏教美術では穢れなき仏世界として描かれてきました。
【蜀江文】
八角形の幾何学文様は、かつて四川省の蜀の地で生まれた絹織物の文様です。その文様がやがては明の時代により洗練され、モダンになり、すっきりとした美しいデザインへと昇華しました。
またこの八角形をつなぐ「田」に見える文様は、実は「十字文様」です。十字文様は太陽の輝きを表した文様で、やがては卍文様となり、万事如意を表す文様へと発展していきます。
ボーダー
【雷】
雷は、龍の化身と呼ばれ、日本では中国より伝わったこの幾何学文様を、能装束の地紋としても用いてきました。 龍には水神様と呼ばれ人々を守ってくれる身近な存在から、蜃気楼を操る翼をもった龍、そして天空をかける5本の爪を持った最高位の神獣まで様々です。
■ Dye … 藍 槐 胡桃 姜黄(ウコン)
■ Price …¥JPY 2,079,000-( with tax )
■ こちら (online store)からより詳しい文様やデザインについてのご紹介をご覧いただけます。
◆ #3 IMPERIAL LINE の中でも特別な No.096 ◆
最後は、MUNI CARPETS が制作する特別なライン、IMPERIAL LINE の中でも特に優美な、No.096 をご紹介いたします。
きらめくゴールドが美しい高雅な No.096 は、四角形にデザインされた蓮と唐草文様の、凛とした姿が特徴です。
具象であり幾何学でもあるそこからは、明代の意匠性の高さを存分に感じることができるでしょう。
No.096 は、かつてルイス・カムフォート・ティファニーが所有した類まれなる蓮花文様のクラシカルチャイニーズラグ、「Tiffany Palace Carpet」と呼ばれた明時代のそれを、メトロポリタン美術館に所蔵されている明時代の同類の作品を参考に、忠実に再現した作品です。
“ ティファニー” の歴史は、1837年に創始者のチャールズ・ルイス・ティファニーが、友人のジョン・B・ヤングと共に、中国のアンティークやファンシーグッズを扱う店を開いたことから始まります。
その仕事はやがて宝石商としても評価を得て、現在につながるティファニーのブランドを確立させていきました。このような環境の中で生まれ育った、息子のルイス・カムフォート・ティファニーは、知らず知らずのうちに、中国美術への造詣が深まり、ガラス美術や室内装飾など、アールヌーボーの第一人者としても名を残すこととなるのです。
この No.096 は、その様な文化と美術品が当たり前のように暮らしの中にあるフランスで、中国や東洋への憧憬とともに生まれた「シノワズリ」の奥深さと醍醐味を感じていただけるインテリアを、作り上げて行くでしょう。
― Information ―
Design No.096
Size 183 x 274 cm
■ Pattern
フィールド
【蓮】
燃え上がるような存在感でデザインされた蓮の文様は、様々な色合いでアシンメトリに配置されています。
そこに生まれる非対称の美しさは、クラシックなカーペットの中に「遊び」を生み出し、明代のモダンな優美さを感じさせる大きな魅力となっています。
ダイナミックな力強さを感じさせる五色の蓮は、繁栄の象徴と共に、瑞祥を示す天上の花園を描き出したものだったのかもしれません。
【唐草】
蓮花それぞれの四方にデザインされたゴールド&ゴールドの配色は、かつては宮廷の奥深くでのみ使用された色です。その唐草文様は、五色の蓮花をこのうえなく美しく見せてくれます。
「いついつまでも」という願いを込められた唐草文様は、時を超えてもなお、人々の変わらぬ願いとなっています。
ボーダー
【萬字 (外側) 】
卍(萬字)文様を繋げた「萬字繋ぎ文様」です。
萬字文様は、吉祥万福の集まるところ、といわれ、また願いのままに進んでいく、という万事如意の意味も持っています。
またそれは、古代ギリシャ・ローマの時代にも存在し、インドで生まれたともいわれ、世界各地で大切に陶器や衣服・神仏への信仰を表すものにも使用されてきました。
【雷 (内側) 】
ギリシャンキー・グリークキーとも呼ばれる雷の文様は、古代より世界各地で最高位の神を象徴するしるしとされてきました。
雷は激しい稲光と轟音を伴って、豊穣には欠かせない恵みの雨を運びます。
そして人々は「最高位の神獣・龍の化身」として自然界の大いなる力の象徴と捉え、畏敬の念を抱きつつ文様として身近に置き、その力による守護を求めてきました。
■ Dye… 槐 大黄 藍 胡桃
■ Price…¥JPY 4,125,000-( with tax )
■ こちら (MUNI BLOG)の2020年 12月7日の記事から No.096 にまつわるお話をご覧いただけます。
◆ Which is your favorite image? ◆
組み合わせるカーペットでの空間イメージの違いと、文様の意味はお楽しみいただけましたでしょうか。
フランス語の「中国(シノワ chinois)」から生まれましたシノワズリ。
中国の優美で幻想的な文化や美術品への憧憬から、心の充足を欲して生まれたこの様式は、一度西洋の審美眼を通すことでより洗練されました。
そして、現代では一層モダンな美しさを纏って、私たちの暮らしを生き生きと彩ってくれます。
東洋と西洋が出会って生まれた「モダンシノワズリ」の様式。
それは、20世紀初頭から始まり、現在もなお世界の有名インテリアデザイナーたちによって取り入れられている、奥深く豊かな時間を演出する永遠のスタイルです。
― シノワズリによせて ―
シノワズリ … 17世紀中頃~18世紀にヨーロッパで流行した、中国趣味の様式。
それは、単に『中国風』をいうのではなく、『西洋の審美眼を通した中国趣味の様式』を指します。
そのどこまでも優美で幻想的な姿に、ヨーロッパの人々は遠い東洋の国への憧れをいだき、その思いを絵画や陶磁器、そして家具へと投影したのです。
そして20世紀初頭。
清王朝が滅ぶと共に、宮廷への献上品であった究極のシノワズリ「クラシカル・チャイニーズラグ」は西洋へともたらされました。そのクラシカル・チャイニーズラグは、当時興ったアールヌーボーやアールデコ様式など、より先進的なインテリアと出会い、「モダンシノワズリ」という新たなインテリアスタイルとして、世界へと広まって行ったのです。
クラシカル・チャイニーズ・ラグの伝統を現代に受け継ぐMUNI CARPETSは、欧米化された今の私たちの暮らしに、新たな「モダンシノワズリ」の世界観を、奥深く豊かに演出して行きます。
* * *
news letter vol.18: カーペットにまつわる話 ~MUNI BLUE~
2021年6月2日
MUNIでは、毎月2回ペースでメールマガジンをお届けしています。
こちらでもその内容を紹介させていただきます。
【MUNI CARPETS news letter】では、MUNIのカーペット(ラグ)をより身近に、
ご家族の一員のように感じていただけるような、カーペットにまつわる話・設えのアイデアなどをお届けしています。
お忙しい日々の息抜きにお読みいただけましたら嬉しく存じます。
お客様方とお話しするなかで、「MUNIは青が特徴なんですか?」というご質問をよく頂きます。
皆さまもそう思われているかも知れませんね。なんとなく青が多いなぁと。
今号では、皆さまのそのご質問にお答えいたします。
【MUNI BLUE】
MUNI CARPETSは、1987年、オーナーの楠戸謙二が
一枚のアンティーク・チャイニーズ・ラグと出逢ったことから始まりました。
初めて訪れた香港でアンティーク・チャイニーズ・ラグと出逢い、
その美しい文様と、時を経て深まり成熟した藍の色に強く引き込まれてゆきました。
そしてアンティーク・チャイニーズ・ラグの蒐集と研究を進めるなかで存在を知ったのが、
”クラシカル・チャイニーズ・ラグ”と呼ばれる、明朝末期から清朝初期に宮廷に献上された幻の絨毯でした。
その一度滅びた美しく文化的価値のある絨毯を、再び現代のモダンインテリアに蘇らせたい。
この美しい藍色の絨毯を再現したいというその強い想いが、
のちに工房運営のパートナーとなるBill Zhang(ビル・チャン)との出逢いを導いたのです。
このMUNI CARPETS誕生の原動力となった「藍色」は、
MUNIにとって最も大切な色としてこだわり続ける「MUNI BLUE」なのです。
【原料としての藍】
楠戸とBill Zhangが出逢った1980年代、「藍染め」の技法は、明朝・清朝の時代と違って
人々の生活に身近なものではなくなっていました。
文献などで調べるも、どこで藍が採れるのか、どうやって染料にするのか、手探りが始まりました。
楠戸は日本各地で、Bill Zhangは広い中国の各地で「藍」の葉を求めるところからのスタートです。
何年もかけて各地を見て回るなかで、Bill Zhangが中国・貴州省にある農家に辿り着き、
藍の栽培を依頼しました。貴州省は中国南西部の山岳地域にある省で、棚田が連なる風光明媚な土地。
ミャオ族やトン族などの少数民族が住む伝統的な村落で知られます。
MUNIでは、契約農家にて特別にキツネノマゴ科の藍葉を栽培し、現代では希少となっている
「沈殿法」の伝統製法を守り続けています。
その製法は、温暖な気候のもと丁寧に育てられた藍を刈り取り、水を張った浴槽に漬け込み、
葉や茎から色素成分が滲み出るのを待つところから始まります。
やがて、時間がたつにつれ徐々に色素成分が抽出されてきます。
気温や水温によって漬け込む時間を調整し、藍葉から十分に色素の成分を抽出できたら
葉を取り除きます。そうして沈殿してできたものが「沈殿藍」です。
この状態のまま、遠く離れた蘭州へと列車で運ばれます。
蘭州の工房では、藍本来の美しい色を引き出すため、化学薬品は使用せず
酒・麩(ふすま)・蓬灰などを用い、甕のなかの藍の発酵菌の状態を見ながら、
時間をかけて自然発酵させ、藍建て(染色できる状態)していきます。
こうして出来た藍汁に、精練して手で紡いだ最高品質のタンヤンウールを浸して染めていきます。
乾いてみないと狙った色が出ているか判らないため、洗っては乾かし、洗っては乾かし、を繰り返します。
【藍は育ち続ける】
染め上がり、カーペットに織り上がったのちも、藍は育ち続けます。
空気(酸素)や、日光に当たることで、藍の色はどんどん鮮やかになっていきます。
藍は、日本の江戸時代の”火消し”が纏っていたことからもわかるように、
生地を強くする性質も持ちます。
400年前のアンティークカーペットを見ると、藍色の箇所は、色も生地もしっかりと残っているのが見てとれます。
天然藍は、時を経るごとに美しく深まっていくのです。
【安心の証】
MUNIでは、 明朝、清朝時代の古来の伝統的な染色方法に則してすべて植物染料を使用しています。
また染色から仕上げまでの全工程において、有害な化学物
質を使用せず制作しておりますので、安心してお使いいただけます。
化学薬品を使えばウールを真っ白に漂白することができますが、
ウール本来の柔らかさが失われてしまうため、敢えて漂白をせずにウールそのものの美しさを活かしています。
天然藍を使用した製品は、繊維製品の安全性において世界で最も権威のあるスイス本部の認証機関
「エコテックス規格100」の認証検査を受け、最も厳しい「乳幼児が口に入れても安全」という基準を満たす
クラス1の認証を毎年取得しています。
天然藍と原毛色のMUNI CARPETSは繊維製品の安全性を検査し認証する世界で最も権威ある機関
「エコテックス規格100」のクラス1という最も厳しい認証を、ウールカーペットでは世界で初めて取得いたしました。
安全、安心にお使い頂け、代々受け継ぎながら100年以上お使い頂けるものづくり。
契約農家との継続的な取り組み、そして、環境への配慮。
SDGsという昨今のサステナビリティ・ムーブメント以前から、MUNIが取り組んできたものづくりです。
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MUNI倉敷本社店 定休日変更のお知らせ
2021年5月23日
納品事例 F様邸
2021年5月21日
ちょうど一年前、ライトブルー地の花蝶文様のラグをお求め下さったF様。
久しぶりにご連絡くださり、近況と共に写真を送ってくださいました。
お持ちの61x122cmサイズは、簡単に持ち運びできて模様替えを楽しめる、気軽で便利なサイズ。
F様も定位置を決めず、折々に好きな場所に敷かれて楽しんでいらっしゃいます。
「今年の初夏は庭の一角にヤマシャクナゲが見事に咲き誇っている場所が
ありましたので、その場所が見渡せる特等席に敷いています。
大好きな景色見ながら、大好きなカーペットに座り時間を過ごす
コロナ禍ではありますが、心安らぐ時間が過ごせています。」
と、嬉しい言葉を寄せてくださったF様。
こうしたお客様の声に、いつも励まされて元気を頂いています。
状況が落ち着いて、またMUNIへお越し頂ける日を今から心待ちにしているこの頃です。