MUNI CARPETS

news letter vol.42 : MUNIのモダンさはどこから?

2023年5月1日


MUNIでは、月に1度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。
過去のアーカイブはこちらから


 MUNIにお越し下さるお客様や、お求めいただいたお客様からは、光栄なことに「モダンね!」「どんな空間のインテリアにも合いそうね」などとお褒めのお言葉を頂戴しています。
そこで、今回はMUN CARPETSのモダンさと現代性にスポットを当て、深堀りしたいと思います。

Asian gallery, Metropolitan Museum of Art

| MUNI CARPETSのルーツ、明という時代

 MUNI CARPETSは、“クラシカル・チャイニーズ・ラグ”と呼ばれる、中国の「明(みん)」の時代の宮廷への献上品として製織されていた品々をルーツとしています。

「明」の時代と聞いて、どんなイメージを持たれますか?
1368年から1644年までですから、「かなり前」というイメージかと思います。

「明(みん)朝」は、モンゴル帝国の末裔である「元(げん)朝」に代わって、漢民族が興した王朝。300年程続いた最後の漢民族の王朝で、日本では室町時代・安土桃山時代・江戸時代にあたります。
1644年に少数騎馬民族である満州民族の清王朝が台頭するまでの300年間に、中国の文化芸術が洗練の頂点に達したと言われます。

© MUNI CARPETS 2023


 明代は、「文人」と呼ばれる人々が隆盛を極めた時代でした。
文人とは、士大夫(したいふ)つまり近代以前の中国における政治的・文化的支配者たる高級官僚および官僚予備軍のことで、儒家としての人文的教養を身につけ、支配的・指導的な立場にある人物たちのことを指しました。

文人は王侯・貴族・官僚・地主・地方豪族などの支配者的な階級・地位の出身者がほとんどで、彼らが私的生活において見せる姿が「文人」であり、詩人的要素、書家的要素、画家的要素などなど趣味人たる教養をすべて内包していました。

| 明代のインテリア指南書

 そんな時代に、“インテリア指南書”を著した人物がいました。文 震享(ぶんしんきょう)という、中国の代表的文人です。

 “雅(が)”と“俗(ぞく)”というのが彼ら文人のものごとの判断基準であり、知識階級の生活文化の基本的文献としての書物である『長物志(ちょうぶつし)』には、建築、設え、家具・調度品、書画、香、庭木、衣服そして乗り物に至るあらゆるものについての項目があり、「これはダメ、これは使い物にならない」という、ストイックなまでの日常の美学、生活の美学が著されています。

明代にすでに、そのような概念、美学が存在していたこと自体が驚くべきことです。
”雅(が)”は、いまで言うエレガント、上品という意味を持ちます。

| 明代の美意識で作られた絨毯

Frank Lloyd Wrightの自邸に敷かれたClassical Chinese Rug

『長物志(ちょうぶつし)』には、絨単(絨毯)の項目もあります。
その意味するところは、明代に作られた絨毯は、絨毯単体で完結して作られたものではなく、「洗練された空間に合うように」という視点で作られているという点です。
その洗練された美しさは、遊牧民や家内製によるものではなく、確固たるアート・ディレクターが存在し、その指示のもとに、しかるべき工房で制作されたことにより生まれてきたのです。

明代のモダンさは、20世紀のフランク・ロイド・ライトやココ・シャネルの部屋のインテリアに、そのままタイムリープ(Time leap)し、時代を越えていまなおモダンに映ります。

 そのルーツを継承しているMUNI CARPETSが、現代の空間にフィットするのは偶然なことではなく、作られた経緯からすれば当然の理(ことわり)なのです。
十分な存在感を持ちつつも、空間を引き立てるために計算しつくされた美。
流行ではない、トラディショナルでタイムレスな美。
それが、MUNI CARPETS。
皆さまに”モダン”と感じて頂ける所以です。

MUNI CARPETS Design No.062


(参考文献)

『長物志1  —— 明代文人の生活と意見』
『長物志2  —— 明代文人の生活と意見』
『長物志3  —— 明代文人の生活と意見』   文 震享 編  荒井 健 他訳注  平凡社

『VIRATA COLLECTION OF ASIAN ART: A FAMILY LEGACY』 —CHRISTIE’S auction catalogue—

*     *     *

メールマガジンのご登録はこちらから

posted by MUNI |

ARCHIVE