辻村 寿三郎さん
2009年6月4日
辻村寿三郎さんの作品を初めて目にしたのは、私がまだ学生の頃。
独特の世界観に最初は怖さも感じつつ、でも、一体一体に
寄せられた深い愛情に引き込まれて行ったことを覚えています。寿三郎さんは、
〔美しいものや喜ばしいものは、人の中にある醜い面や
悲しみの裏づけによって、美しいのであり喜ばしいのです。
光があるから影があって、影があるからこそ光が際立つ。
美しさも怖さも表裏一体です。〕
と、仰っています。寿三郎さんの人形は、力があるのだけど、とても繊細で
ガラスの様にもろくも見えます。だけど、決して崩れない
力が内に込められているように私には見えるのです。〔怖い〕、という印象を持つ方にも、一度じっくりと
その人形たちを見ていただければ、その奥に流れる
深い愛情を感じ取ってもらえるのでは、と思います。写真は作品集の中から 獅子頭 を選んでみました。
寿三郎さんはどういった思いで獅子を作られたのでしょう…。獅子は、MUNI の文様にもあり、大きな大きな守り神です。
(今回作品集の下に敷いたカーペットは、太陽の意味を持つ
菊花と、復活の象徴である蝶の文様を配しており、
優しさの中に力強さがある、とてもエレガントな一枚です。)