クロワッサンで朝食を(2012年・仏)
2015年9月21日
「死刑台のエレベーター」で知られるジャンヌ・モローが、御年85歳にて主演。
エッフェル塔にセーヌ川、街中のカフェ。95分で、ぎゅっと凝縮されたパリの一角の風景を垣間見ることができます。モローは、パリの豪華なアパルトマンに住む、裕福だけれど孤独な老婦人フリーダを演じています。
もう一人の主人公、家政婦アンヌと交流していく中で、威圧的で強張った顔が徐々に和らいでゆき…最後に浮かべる笑顔は、何ともチャーミング。
淡々と物語は進みますが、鑑賞後はしっとりと胸が温かくなっていました。モロー自前のシャネルファッションもさることながら、この映画は、インテリアも大きな見どころのひとつです。
高い天井に白い壁、大きな窓の明るい客間には、生前のシャネルが使っていたというコロマンデル屏風や、手縫いのイヴ・サンローランのカーテンが設えられています。
そこでカーペット屋さんが気になるところと言えば、やはり足もと。
部屋の中央の大きなソファの下には、シャネルが収集していたクラシカルチャイニーズラグを彷彿させる、ペールトーンのベージュ地に青花模様の大きなカーペットが敷かれていました。写真集でしか見たことのなかった、シャネルの息遣いを感じるインテリアコーディネート。
印刷物を眺めるだけではわからなかったリアリティが、
映画で、実際にその上で動く人物たちを見て、ようやく感じ取れた気がします。
個人的に大収穫の映画鑑賞となりました。