news letter vol.21: カーペットにまつわるお話 ~世界で愛される装飾文様 “雷文”~
2021年8月1日
MUNIでは、月に1度から2度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。
この文様は、【雷文】(らいもん)と呼ばれる文様であり、雷=稲妻を表しています。
単独ではなく、連続させてボーダー(縁取り)の装飾文様として用いられます。
古では恵みの雨を天に願ったことから、稲妻は雨をもたらし、万物への恵みをもたらすという意味が込められています。
|ヨーロッパにおける雷文
雷文は、中国はもとより、ギリシア、ローマの建築物や調度品などに多く取り入れられている普遍的なもので、
“Greek key(グリーク・キー)”または“Meander (メアンダー)”と呼ばれ、世界的に愛されている装飾文様です。
新石器時代にバルカン地方のドナウ川流域のトリポリエ文化・ディミニ文化において土器の装飾文様として始まり、
ギリシアの幾何学紋様として開花しました。
“Greek key”または“Meander” が意味するのは、雷の場合もあれば、基本方位(東西南北)や四季を表したり、
あるいは、友情・絆、永遠を表す場合もあります。
「萬字」文様と組み合わさっているもの(swastika meander pattern)も多く見られます。
| 日本における雷文
1910年に日本で最初の中華そば(ラーメン)店がオープンしたときのこと。
当初は和食用のどんぶりを兼用していたらしいのですが、次第にラーメン人気が広がり、浅草・かっぱ橋にある九谷焼を扱う陶器卸専門店に「中華らしい器を作って欲しい」と依頼したところ、陶器店の店主が、試みで器の淵に【雷文】を施したのだそうです。すると、ラーメンの普及とともに、雷文を施したどんぶりも日本中に広まったと聞きました。
このことが発端となり、日本においては、「雷文=ラーメン」という図式がすっかり定着しているのですから、驚くべき影響力です。
しかしながら、ラーメンの普及の遥か前、室町時代から、日本では家紋として雷文が使われていました。そのバリエーションは、48種にも及びます。家紋は日本が誇る素晴らしいデザイン文化ですね。その発想、完成度の高さ、そしてユーモアには目を見張るものがあります。
| クラシカルチャイニーズラグにおける雷文
改めて、MUNIのカーペットにおける雷文を見てみましょう。
カーペットを引き締めるボーダー(縁取り)として、こちらにも、あちらにも、雷文。太いものあり、細いものもあり。
その全てに、豊穣への願いが込められています。
| 番外編
先日、東京の浅草に行きましたら、橋の欄干に雷文があり、ついパチリと撮りました。有名な雷門(かみなりもん)の近くなので、その繋がりかも知れません。
街中で気にしながら見ていると、日本でも意外にたくさんの雷文を発見することが出来ます。
この夏、ゴロゴロゴロゴロ、、、と雷鳴が轟いたら、豊穣への祈りを込めた雷文を思い浮かべてください。
今回も、最後までお読み頂き、有難うございました。
■2021年2月1日号にて、「文様のあれこれ」vol.1の特集を組みました。
併せてご覧くださいませ。
https://muni.co.jp/blog/4220/
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