MUNI CARPETS

news letter vol.18: カーペットにまつわる話 ~MUNI BLUE~

2021年6月2日

MUNIでは、毎月2回ペースでメールマガジンをお届けしています。
こちらでもその内容を紹介させていただきます。

【MUNI CARPETS news letter】では、MUNIのカーペット(ラグ)をより身近に、
ご家族の一員のように感じていただけるような、カーペットにまつわる話・設えのアイデアなどをお届けしています。
お忙しい日々の息抜きにお読みいただけましたら嬉しく存じます。

 お客様方とお話しするなかで、「MUNIは青が特徴なんですか?」というご質問をよく頂きます。
皆さまもそう思われているかも知れませんね。なんとなく青が多いなぁと。
今号では、皆さまのそのご質問にお答えいたします。

【MUNI BLUE】

 MUNI CARPETSは、1987年、オーナーの楠戸謙二が
一枚のアンティーク・チャイニーズ・ラグと出逢ったことから始まりました。
初めて訪れた香港でアンティーク・チャイニーズ・ラグと出逢い、
その美しい文様と、時を経て深まり成熟した藍の色に強く引き込まれてゆきました。
そしてアンティーク・チャイニーズ・ラグの蒐集と研究を進めるなかで存在を知ったのが、
”クラシカル・チャイニーズ・ラグ”と呼ばれる、明朝末期から清朝初期に宮廷に献上された幻の絨毯でした。
その一度滅びた美しく文化的価値のある絨毯を、再び現代のモダンインテリアに蘇らせたい。
この美しい藍色の絨毯を再現したいというその強い想いが、
のちに工房運営のパートナーとなるBill Zhang(ビル・チャン)との出逢いを導いたのです。
このMUNI CARPETS誕生の原動力となった「藍色」は、
MUNIにとって最も大切な色としてこだわり続ける「MUNI BLUE」なのです。

【原料としての藍】

 楠戸とBill Zhangが出逢った1980年代、「藍染め」の技法は、明朝・清朝の時代と違って
人々の生活に身近なものではなくなっていました。
文献などで調べるも、どこで藍が採れるのか、どうやって染料にするのか、手探りが始まりました。
楠戸は日本各地で、Bill Zhangは広い中国の各地で「藍」の葉を求めるところからのスタートです。

1990年 楠戸撮影

 何年もかけて各地を見て回るなかで、Bill Zhangが中国・貴州省にある農家に辿り着き、
藍の栽培を依頼しました。貴州省は中国南西部の山岳地域にある省で、棚田が連なる風光明媚な土地。
ミャオ族やトン族などの少数民族が住む伝統的な村落で知られます。

1990年 楠戸撮影

 MUNIでは、契約農家にて特別にキツネノマゴ科の藍葉を栽培し、現代では希少となっている
「沈殿法」の伝統製法を守り続けています。

 その製法は、温暖な気候のもと丁寧に育てられた藍を刈り取り、水を張った浴槽に漬け込み、
葉や茎から色素成分が滲み出るのを待つところから始まります。
やがて、時間がたつにつれ徐々に色素成分が抽出されてきます。
気温や水温によって漬け込む時間を調整し、藍葉から十分に色素の成分を抽出できたら
葉を取り除きます。そうして沈殿してできたものが「沈殿藍」です。
この状態のまま、遠く離れた蘭州へと列車で運ばれます。

藍が発酵しているところ

 蘭州の工房では、藍本来の美しい色を引き出すため、化学薬品は使用せず
酒・麩(ふすま)・蓬灰などを用い、甕のなかの藍の発酵菌の状態を見ながら、
時間をかけて自然発酵させ、藍建て(染色できる状態)していきます。

藍の仕込みをしているところ

 こうして出来た藍汁に、精練して手で紡いだ最高品質のタンヤンウールを浸して染めていきます。
乾いてみないと狙った色が出ているか判らないため、洗っては乾かし、洗っては乾かし、を繰り返します。


【藍は育ち続ける】

 染め上がり、カーペットに織り上がったのちも、藍は育ち続けます。
空気(酸素)や、日光に当たることで、藍の色はどんどん鮮やかになっていきます。
藍は、日本の江戸時代の”火消し”が纏っていたことからもわかるように、
生地を強くする性質も持ちます。
400年前のアンティークカーペットを見ると、藍色の箇所は、色も生地もしっかりと残っているのが見てとれます。
天然藍は、時を経るごとに美しく深まっていくのです。

400年前のクラシカル・チャイニーズラグ


【安心の証】 

 MUNIでは、 明朝、清朝時代の古来の伝統的な染色方法に則してすべて植物染料を使用しています。
また染色から仕上げまでの全工程において、有害な化学物
質を使用せず制作しておりますので、安心してお使いいただけます。
化学薬品を使えばウールを真っ白に漂白することができますが、
ウール本来の柔らかさが失われてしまうため、敢えて漂白をせずにウールそのものの美しさを活かしています。 

天然藍を使用した製品は、繊維製品の安全性において世界で最も権威のあるスイス本部の認証機関
「エコテックス規格100」の認証検査を受け、最も厳しい「乳幼児が口に入れても安全」という基準を満たす
クラス1の認証を毎年取得しています。

 天然藍と原毛色のMUNI CARPETSは繊維製品の安全性を検査し認証する世界で最も権威ある機関
「エコテックス規格100」のクラス1という最も厳しい認証を、ウールカーペットでは世界で初めて取得いたしました。

 安全、安心にお使い頂け、代々受け継ぎながら100年以上お使い頂けるものづくり。
契約農家との継続的な取り組み、そして、環境への配慮。
SDGsという昨今のサステナビリティ・ムーブメント以前から、MUNIが取り組んできたものづくりです。



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