"> about MOTIF_萬字・紗綾形 – MUNI CARPETS

MUNI CARPETS

about MOTIF_萬字・紗綾形

2000年1月1日


「卍」は、 ” 光輝く天体 ” を象徴し、萬事如意を願う「萬字(卍)」文様と呼びます。

またその字を斜めに崩した形を連続させて構成した文様は、紗綾形絹織物の一種の紗綾の織文様に多く見られる事から「紗綾形」と呼ばれ、「卍繋」「菱卍」「雷文繋」とも言われています。

中国では盛唐の長寿二年に卍を文字として採用し、その音を万としたところから、吉祥万福の集まるところとされてきました。

そこから卍の四つ端を縦横に伸ばし連鎖した文様を長脚万字または富貴不断頭と呼び、不断長久を意味する吉祥文としてきました。
また、卍字は元々インドのビシュヌ神の胸より起こったとされる吉祥の印とも言われ、仏菩薩の胸、手足などに現れた吉祥、万徳の相を示すものとされています。


*「萬字」のあれこれ*

▇ 「卍」は、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の胸にある旋毛を差し、とてもおめでたい物とされています。

ヴィシュヌ神はヒンドゥー教の三大神(*)の中の一柱であり、平和を愛する「世界維持の神」とされています。
古代インド神話の時代からとても深く信仰され、青い肌と4本の腕を持ち、手にはそれぞれ、蓮の花・ホラ貝・チャクラム・棍棒を持った姿で描かれます。
太陽神の化身として生まれたヴィシュヌ神は、魚や猪、人間の形にその姿を変えて、混迷の時に人々の前に現れ秩序を取り戻します。
*三大神(ブラフマー=創造・ヴィシュヌ=維持・シヴァ=破壊)

▇ 古代ギリシャやアッシリア等でも、太陽やその光を象徴する文様として大変重要な意味を持っていました。
古代文明の生まれた世界中の地域で、この文様は多く発見されているようです。

▇ 「卍」は、仏教とともに北インドから中国に入り、大変縁起が良いことから「吉祥万福の集まるところ」とされてきました。
やがて仏教は日本へと渡り、多くの仏像が制作され、仏教美術や建築物に萬字文様は使用されてきました。

▇ 奈良の薬師寺の本尊は白鳳時代(*)に制作された薬師如来ですが、その胸には「卍」が彫り込まれています。
古代日本ではすでに「卍」は吉祥と救済の意味を持って広く人々の間にありました。
(*白鳳時代=飛鳥時代と天平時代の間)

因みに、薬師如来の座の部分には古代ギリシャの影響を受けたブドウと唐草の文様が彫り込まれています。
世界各地で生まれた文化・宗教・芸術は、シルクロードを渡って交易と共に世界を駆け巡り、極東の日本へと世界の香りを届けました。

▇ 身近なところでは、家紋として親しみを持たれている方も多いのではないでしょうか。
室町時代より家紋として使われるようになった「卍」ですが、そのアレンジは30種類以上に及ぶと言います。

▇ 浅草浅草寺の、蓮の花弁をかたどった美しい「蓮弁守」には、大きく「卍」が施されています。
こちらは、病気平癒・健康長寿、といった御利益をいただけるとのこと。
蓮に萬字、とても豊かで深い意味を持ったお守りですね。


———-


MUNI CARPETS は、世界の宝でもある明代の宮廷絨毯・Classical  Chinese  Rugを蒐集・研究し、文様が持つ美しさやその意味までも後世へと伝える為、文様の1つ1つに幸せへの願いを込めてカーペットを制作し、皆さまの元へとお届けいたします。




posted by MUNI |

ARCHIVE