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about MOTIF_雲

2000年1月1日


雲の文様は“瑞雲”と呼ばれ、「慶びのさきがけに現れる美しい雲」と言い伝えられています。

古来、雲は雨をもたらし、万物に恵みを与えることにより、人々の信仰の対象とされてきました。

また、雲は「運」と同発音であることから、幸運への願いが込められています。

日本においても、宮中を描いた絵巻物に黄金の雲がたなびいていたり、また、神仙や仏の乗り物として用いられたりと、雲は高貴なもの、聖なるものとされてきました。

*雲のあれこれ*

▇ 古来中国では、神仙が住む山中から沸き立つ雲を「雲気」と呼び、その動きや形から占いを行っていました。

その中でも、特に佳い形を持つものを「瑞雲」と呼び、瑞兆のしるしとして人々はその訪れを心待ちにしていました。

▇ 漢の時代。交易では武帝がシルクロードの礎となる絹馬貿易を開いた頃、精神世界では神話や伝説に基づいた天上界を表すものが広がりました。

雲はその中で重要な地位を占め、渦巻く雲の形を表した「運気文」が欠かせない中心的な文様として使われました。

雲は吉凶を表すもの、普遍性を表すものとして重用され、「瑞雲文」へと発展していきました。

雲は「天の気」を持つといわれ、古くから屋根瓦にもデザインされてきました。
瓦に雲の文様を用いることで、天と地の調和を図り多くの幸福が訪れると伝えられてきました。

また、五色に輝く瑞雲が現れるときには、聖人の出現や、太平の世が訪れる、と信じられてきました。

▇ 京都祇園祭の山鉾のうち鶏鉾には、屋根の破風の下に掲げられる水引幕に、瑞雲の中を二頭の麒麟が行く様子が刺繍されています。(金地日輪瑞雲麒麟図刺繍・江戸時代中期・重要有形民俗文化財)

鶏鉾の「鶏」は、古事記の「常世の長鳴き鳥」を題材にしたとも、古代中国の故事「諫鼓」から太平の世を表すものとして選ばれたとも言われています。

雲も幸福や幸運の象徴であると共に、太平の世の訪れを知らせるものとして尊ばれてきたので、鶏鉾の懸装品にとても素晴らしいモチーフとして選ばれたのではないでしょうか。

因みに麒麟は 、名君の誕生と共に出現し、徳・同義・慈愛・善を司る神獣とされています。

▇ 中国の不老不死の女神・西王母は遙か西方の神仙郷にある雲に包まれた宮殿(雲母宮とも呼ばれている光り輝く宮殿)に住み、雲は下界(俗世)との結界の役目を担っているといいます。

西王母の物語に、唐の時代に天上界まで響くほどの泰平の世を治世する当代の皇帝の元へ、3000年に一度だけ実をつける桃を持ち現れた、というものがあります。

皇帝をたたえ春風に乗って宴を楽しみ、やがて、たなびく雲に乗って天上界へ帰って行ったとか。

どこまでも優美でロマンチックな物語ではないでしょうか。

▇ 広い空にたなびく雲の姿は、心までもその場所へと導いて行ってくれそうです。


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MUNI CARPETS は、世界の宝でもある明代の宮廷絨毯・Classical  Chinese  Rugを蒐集・研究し、文様が持つ美しさやその意味までも後世へと伝える為、文様の1つ1つに幸せへの願いを込めてカーペットを制作し、皆さまの元へとお届けいたします。




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