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news letter vol.70: 追悼|ジョルジオ・アルマーニ氏への想い

2025年10月2日

MUNIでは、月に1度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。
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出典:『ARCHITECTURAL DIGEST JAPAN  No.10』 (AUGUST 1984)

追 悼
ジョルジオ・アルマーニ氏への想い

私の背中を強く押してくれたアルマーニの邸宅 

 20代後半、香港で一枚のアンティークカーペットに出逢ったことがきっかけで明代クラシカル・チャイニーズ・ラグの世界を知った私は、その魅力にすっかり取りつかれ、一度失われた文化芸術をリバイブさせることに人生を捧げようと決め、邁進していました。

 しかし、時代は1990年代。日本での、中国に対する様々なネガティブイメージや、中国の人々との仕事の中で起こるストレス等で精神的にも追い込まれていました。

出典:『ELLE DECO No.6 1993年6月号』

 そんなとき私は、『ELLEDECO』誌でジョルジオ・アルマーニ氏のミラノの自邸を目にします。
ジョルジオ・アルマーニ氏がインテリアデザイナーのピーター・マリノに依頼して創り上げた空間です。

それは、1930年代の最も洗練されたフランスのインテリアデザイナー、Jean Michael Frank(ジャン・ミッシェル・フランク)の家具とスタイルでした。
そして、そこには、なんとアンティークのチャイニーズ・ラグが燦然と輝いていました。

シンプルでモダンな西洋の家具と空間をベースに、東洋の優雅な伝統美が融合されたラグジュアリーな空間。
そしてなにより、当時既にファッション界の巨匠として世界的に有名であり、そのストイックなまでに研ぎ澄まされた美を追求するアルマーニ氏自身が、アルマーニデザインを象徴するミラノの自邸にチャイニーズ・ラグを取り入れていることは、私にとって、「この道を選択したことは間違えではなかったのだ」と思わせてくれました。

 1980年代に改装されて以来40年以上、ミラノの自邸のカーペットが変わることはなく、アルマーニ氏が生涯愛し続けたことは、今でも私の大きな心の支えとなっています。

「理想の美学の延長線上たる住まい」を表現し続けた天才、ジョルジオ・アルマーニ氏に、深い感謝とともに、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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楠戸 謙二 

出典:『ARCHITECTURAL DIGEST JAPAN  No.10』 (AUGUST 1984)  

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