INTRODUCTION
伝統は新たな美へ
かつて広大なアジア大陸に、世界を驚かせた美しさが有りました。 陶磁器、織物、彫刻‥‥ 洗練を極めた技は、 現代に受け継がれて、新たな時代を迎えています。 MUNI CARPETSが創ったのは、東洋の美を支えてきた伝統技術に モダンな感覚を融合したカーペット。 「美しさ」と「新しさ」の共存から生まれた唯一の価値がここにあります。
CONCEPT / 時代を越えたラグジュアリースタイル モダンシノワズリ
1930年代、世界の文化の中心であったパリやニューヨークで、今までにないインテリアスタイルが誕生しました。
西洋のモダニズムと究極の東洋の伝統美であるクラシカル・チャイニーズ・ラグが融合したそれは、ハイエンドな人々によってより洗練されたものへと昇華され、瞬く間に世界へと広がり、現代にも続くラグジュアリーなインテリアスタイルとなっていったのです。
彼らの個性が最も表現された自宅(サロン)は、カルチャーの交流の場でもありました。そこに配する全てがこだわりのもとに選ばれ、その演出への知識は当然の嗜(たしな)みだったのです。
サロンに通された客人はまず家具を眺め、壁面の絵画、そして床に敷かれた手織り絨毯を鑑賞しました。
遠く離れた東洋から到来した誰も見たことのない美しい中国の絨毯は、最高のしつらえへの究極の仕上げだったのです。
MUNI CARPETSは当時、最もラグジュアリーでシックだったインテリアスタイル モダンシノワズリ をコンセプトに、東洋の美の源流である中国の明朝時代に作られた最高峰の絨毯(クラシカル・チャイニーズラグ)の製法と伝統美をよみがえらせ、現代に合わせてアップデートしました。
私たちMUNIは、東洋が持つ最上の伝統美とモダンを融合した新しい洗練されたインテリアスタイルをお客様へお届けします。
STUDIO / MUNI CARPETSを生み出す工房
MUNI CARPETSの工房「漢氈居」は中国西北部の甘粛省に設けています。
なぜなら、この地はかつて中国明朝時代に最高峰の絨毯を製作していた産地だったからです。
宮廷用の最上級の絨毯は、敦煌芸術に代表される西域の高い文化、 黄河上流域の豊かな自然に育まれた最高級の羊毛、そして植物染料の発色に大きな影響を与える祁連山脈からの雪解け水があってこそ生まれてきたのです。MUNI CARPETSはこの歴史的な聖地で、古来の伝統的製法を今に甦らせ、さらに現代のスタイルに合うよう、技術やデザインをアップデートしました。当時を超える高品質な唯一無二の絨毯は、糸の紡ぎから染色、織りにいたるまですべて職人の卓越した手作業によって製作しています。
QUALITY / クオリティー ・ 品質
MUNI CARPETSは、中国の明時代に作られた最高峰の絨毯の製法を長年の研究によって一から蘇らせ、さらに現代の日本人のライフスタイルに合わせて快適にお使いいただけるようアップデートして製作しています。
靴を脱いで生活する日本人にとって、絨毯の弾力性はとても重要です。そのため当時のものよりもさらに「打ち込み」の密度を上げて織り上げることで、弾力性を向上させました。
例えばソファーで寛いだ時間を過ごす時、床に下ろした足を上質な弾力で心地よく受け止めます。床に座ったり横になったりとプライベートな空間ならではの過ごし方では、床の硬さが身体に直接伝わらず、さらに心地よく感じていただけます。
室内でも靴を履いたまま過ごす欧米の生活では、絨毯に直接触れることがないためウールの質はあまり問われません。しかし日本の生活では、セーターなどの衣類と同様に、絨毯の肌触りはとても大切です。
MUNI CARPETSが使用するウールは、灘羊(タンヤン)という羊から取るプレミアムウール。繊維が15ミクロン以下のカシミヤと同等の細さのため、肌に刺さる感覚がなく、素肌で触れてもとても心地よい肌触りです。ウール本来の特性から空気を大量に含むため保温性が高く、また汗や湿気を吸収しても表面がサラッとしているので夏も涼しく、一年を通して快適にお使いいただけます。
染色は当時の方法にのっとり、すべて植物染料を使用しています。また染色から仕上げまでの全工程において一切化学物質を使用せず製作しておりますので、安心してお使いいただけます。
特に天然藍を使用した製品は、繊維製品の安全性において世界で最も権威のあるスイス本部の認証機関「エコテックス規格100」の認証検査を受け、最も厳しい「乳幼児が口に入れても安全」という基準を満たすクラス1の認証を毎年取得しています。
天然藍と原毛色のMUNI CARPETSは繊維製品の安全性を検査し認証する世界で最も権威ある機関「エコテックス規格100」のクラス1という最も厳しい認証を、ウールカーペットでは世界で初めて取得いたしました。
ART DIRECTION / アートディレクション
PARTNER SHIP / パートナーシップ
Bill Zhang [ビル・チャン]
シルクロード文化の結晶であるクラシカル・チャイニーズ・ラグを復興すべく工房「漢氈居」を設立。大学時代より敦煌芸術をこよなく愛する。
工房を運営することは一人ひとりの職人の心を育ててゆくこと。
「日本と中国、二つの国の二人の個人として、責任を持ってこのプロジェクトを進めようと決めました。なぜなら、私たちは絨毯という伝統文化の重要性を他の誰よりも知っているからです。伝統とは単なる職人の技術だけではありません。先人の精神性をも汲み取り、受け継いでゆくこと。それが伝統を守ることだと思います。21世紀の今だからこそ、伝統を守り続けてゆく。それが私の夢なのです。」
Bill Zhang
HISTORY / MUNI CARPETSの歴史
MUNI CARPETSは、創業者・楠戸謙二が1987年に一枚のアンティーク・チャイニーズ・ラグと出会ったことから始まりました。
老舗呉服商で生まれた楠戸は学生時代からインテリアに興味を持ち、ARCHITECTURAL DIGEST(アーキテクチュラル・ダイジェスト)をはじめ海外のインテリア誌に紹介された西洋のモダンスタイルと東洋の伝統美が融合したインテリアに強く惹かれていきました。
そして初めて訪れた香港で、長年の憧れであったアンティーク・チャイニーズラグと出会い、その美しい文様と、時を経て深まり成熟した藍の色に強く引き込まれます。アンティーク・チャイニーズ・ラグの蒐集と研究を進めるなかで存在を知ったのが、”クラシカル・チャイニーズ・ラグ”と呼ばれる、明朝末期から清朝初期に宮廷に献上された幻の絨毯でした。その美しく文化的価値のある絨毯を、再び現代のモダンインテリアに蘇らせたい。その強い想いが、さらにパートナー・ビル・チャンとの出会いを導いたのです。
ビル・チャンは楠戸の想いに共感し、楠戸が目指すカーペット製作の工房の運営を担当するパートナーとして、共に歩むことになります。 そして1989年、クラシカル・チャイニーズ・ラグ復興プロジェクトの第一歩を踏み出します。往時の作品をより忠実に再現するためアンティークの作品を蒐集し、またメトロポリタン美術館などの協力を得て調査研究を重ねるといった試行錯誤の末、手紡ぎや植物染料による染色、手結び等の伝統技術を蘇らせることに成功しました。 そうした伝統技術をさらにブラッシュアップし、日本人の感性と美意識を吹き込むことで、現代の日本の生活のなかでより美しくモダンに、そして安全にお使い頂ける上質なカーペット「MUNI CARPETS」が誕生しました。
THE ORIGIN / MUNI CARPETS誕生の原点
MUNI CARPETSのルーツであるクラシカル・チャイニーズ・ラグについてお話ししましょう。永い中国絨毯の歴史のなかでも一際気品に満ち、洗練された絨毯の一群。それが、日本の美術工芸にも深く影響を与えた明朝末期から清朝初期(16~18世紀)に宮廷への献上品として製織された、「クラシカル・チャイニーズ・ラグ」と呼ばれる絨毯です。
清王朝の衰退とともに宮廷の奥深くで眠っていたそれらは、20世紀初頭、欧米で紹介されるやいなや上流階級の人々に羨望の眼差しで迎えられ、瞬く間にステイタスシンボルとなりました。その品格ある東洋の美は、ルイス・カムフォート・ティファニーやココ・シャネル、フランク・ロイド・ライト、ジョン・D・ロックフェラーなど欧米のトップクリエイターやセレブリティーを魅了し、彼らの個性を表現する大切なアイテムとして用いられました。後にL.Aのフランセス・エルキンスなど世界のインテリアデザイナーの間でも、クラシカル・チャイニーズラグを用いたインテリアスタイル モダンシノワズリ が取り入れられていったのです。
そして現在も、欧米の著名なインテリアデザイナーによってそのラグジュアリーな モダンシノワズリ スタイルは受け継がれています。80年代にピーター・マリノが手がけたジョルジュ・アルマーニのミラノの自邸のエレガントなスタイリングは、今なお多くのインテリアデザイナーをインスパイアし続けています。
時代を超えて世界を魅了したクラシカル・チャイニーズ・ラグ。しかし19世紀以降は次第にその東洋の伝統美が失われ、商業主義のデザイン、機械や化学染料を使った大量生産によって、本来の伝統美を受け継ぐラグとは異なるものとして世界中に広まっていきました。
16〜18世紀に作られたオリジナルのクラシカル・チャイニーズ・ラグは、現在も世界の宝として欧米の有名美術館に所蔵されています。MUNIではこの世界的に貴重な染織文化を現代に受け継ぐため、NYメトロポリタン美術館、北京故宮博物院などの協力を得て、制作技術や文様の調査、また歴史研究をもとにMUNI CARPETSの製作を行っています。
メトロポリタン美術館の学芸員、故ジーン・マイリー氏から楠戸に宛てられた手紙。
氏の温かい励ましと協力は今も楠戸の強い支えとなっている。