MUNI CARPETS

news letter vol.29 : MUNI CARPETSの “惹きつけるデザイン”の秘密とは?

2022年4月1日

MUNIでは、月に1度メールマガジンをお届けしています。
その内容をこちらでも紹介させていただきます。

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 MUNI CARPETSはカーペットを制作する上で、世界的にも貴重である中国の明朝〜清朝初期(16〜18世紀)に宮廷のために作られたクラシカル・チャイニーズ・ラグの文化と美意識を現代に継承するとともに、その文様に込められた古来のひとびとの願いや祈りもまた引き継いでいます。それは私共の誇りとするところでもあります。

そして、お店に来られるお客様にはよく「デザインが素敵ですね!」とお褒めいただきます。
どんなに歴史的価値があり、どんなに素晴らしい素材を使い、どんなに優れた技で作られていたとしても、
そこに【惹きつけるデザイン】がなければ、自分の空間に取り入れたいとは思わないでしょう。


~惹きつけるデザイン~

守 破 離 しゅはり

〝守破離“は、剣道や茶道などで、修業における段階を示したことばです。
どこかでお聞きになったたことがあるのではないかと思います。

「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。
「破」は、他の師や流派の教えからも良いものを取り入れ心技を発展させる段階。
「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

もとは千利休の訓をまとめた『利休道歌』にある、「守り尽くして破るとも離るるとても、もとを忘るな」を引用したものとされています。

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 MUNIにおける「守」は、「東洋の美の源流」である中国で生まれた、クラシカル・チャイニーズ・ラグの文化と美意識、文様。
ここにオーナー・楠戸の日本人の感性によるフィルターがかかることにより、明の時代に生まれたアンティーク作品をふるいにかけ、さらに文様ひとつひとつを選別し、楠戸の目に叶うものだけを編集(音楽でいうサンプリング)してオリジナルをより昇華させ(=「破」)、
オリジナルとは良い意味で似て非なるMUNI CARPETSという新たなものを生み出す(=「離」)。しかし決してオリジナルを忘れることはない。
最後の、「もとを忘るな」というのが重要なところであり、今までもこれからも見失ってはいけない部分です。  

 この在り方がMUNIのデザインをMUNIたらしめ、一般的な中国段通やペルシャ絨毯など中東の他のカーペットとの違いと言える点であるように思います。

 そのまま海外から輸入されたものではなく、日本人である楠戸の目によって本物の美を追求し生み出された作品は、「なんか気持ちに馴染む」「どんなインテリアにも合う」というお声も伺います。  

 この美を追求するためのフィルターは、言い換えれば、素材の味を損ねず、前面に出ないながらも素材の良さを最大限に引き出すスパイスのように随所に効いています。

美は細部に宿る

  MUNI CARPETSの全てのデザインは楠戸が立案・デザインし、工房の下絵師が実物大の下絵を方眼紙に手描きで制作します。カーペットの1目ともなる方眼紙の1目は3mmであり、その方眼に沿って描かれます。  
あがってきた下絵を、楠戸自身が細部にわたって確認し、何度も修正しながら完成させます。

 例えば、上の写真にある、方眼紙に描かれた唐草の弦の先端。
修正を重ねて完成した曲線には、先端にまで神経が行き渡るバレリーナの指先のように、命が吹き込まれます。
そして、そのように描かれた唐草は、方眼の1目単位で織ったのでは滑らかな曲線に仕上がらないため、0.5目単位で織っていきます。

 ほとんどわからないくらいの、もしくは、そこまでするの?というこだわり。
かつ、0.5目単位というのは職人泣かせのオーダーであり、熟練の職人にしかできない技巧なのですが、その小さなこだわりが、野暮な仕上がりとなるか、シャープとなるかを大きく分かちます。
伝統的なデザインをただ描くのではなく、いかに生き生きと描くかは、楠戸が常にこだわっているポイントです。
唐草も、優雅に舞う蝶も、まるで動きだしそうに見えませんか?


透明感と洗練を加える色

 どの色の糸を使うか?これも楠戸のこだわるポイントです。
下の黄色地のラグには、ターコイズブルーのラインを一本入れています。この色が入ることで、伝統的な文様に透明感と抜け感が加わり、全体として洗練されたモダンな仕上がりとなっているのです。

 次は、こちらのTの形をした雷文にご注目ください。
濃いブルー、薄いブルーの隣に細い白い線がすっと一本入っているのがご覧になれますか?この、判るか判らないかくらいの白い線が入るだけでT字の雷文が浮かびあがります。

 同じ系統の糸でも何段階もの色があります。
糸の段階ではほとんど差が判らないのですが、織りあがりを想像し、ひとつの花の中にグラデーションをつけ、奥行をつくる。そんなこだわりも欠かせません。

  「そんなこだわり、気づかなかった!」そう仰って頂けたら、、、制作者冥利につきます。 
「伝統的なのに新しいよね」「理由はわからないけれど、なんか好き!なぜか惹かれる」そう思っていただけるために、これからもデザインへのこだわりは続きます。


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