この度は、皆様方に長く愛されてきた代表的なデザインの一つ、No.009 シリーズをご紹介いたします。
こちらのデザインは、最初に生まれた濃紺地にベージュ文様の配色・ No.009A があり、現在では 8 通りの配色にて展開されています。

その中でも、この No.009E は、穏やかなトーンでありながら、決してぼやけることのないとても美しい配色で構成されています。
明代の絹織物のエレガントな佇まいからインスピレーションを受け、その印象を僅か２色のみで表現したこちらからは、シンプルさと奥深さを感じていただけることと思います。

配色は補色に近い位置関係にある為、とても印象的なバランスとなります。また、その色味を少し渋めに柔らかくすることで、とても上品な空気を演出しています。

モチーフは大輪の蓮花を用い、まるで初夏の水辺に花開いた様そのもののような印象を受けることができます。
蓮は、泥の中にあってとても清らかな花を咲かせることから、俗世からの救済や高潔さへの憧れをもって大切にされてきました。そして、種子の多さからは、幸福と繁栄への根源的な願いが込められています。
冬には一度枯れたようにも見え、初夏にはまた力強く美しく花開く蓮。
その姿を映した No.009E は、力強さと繊細さを併せ持ち、またとない美しさで織り上げられています。

こちらの１枚の魅力は、藍と橡の重ね染めで染めこまれた地色のグレイッシュブルーが、光と見る角度や方向によって、全く別のカーペットと思えるくらいに豊かに表情を変えるところです。
濃く深く見えるときと、淡い淡い水色に見えるときがあり、日々のお天気によってさまざまに変わる表情に、飽きることのない楽しみを感じることができるでしょう。
また、100年の使用に耐えるようMUNIの縦糸に結びつけるパイル糸は、全て職人が手で紡いで製作しておりますので、機械のように均一ではなく、太い箇所と細い箇所が自然に生まれ、糸に濃淡が現れ、カーペット表面に濃淡のラインが生まれます。
これをアブラッシュと呼び、100年以上昔に作られたアンティークカーペット同様にカーペット一枚一枚に個性を与えています。

また、一見シンプルな丸い文様ですが、計算されつくした美しい曲線で複雑に蓮花がデザインされており、その文様を織り上げる技術の高さも外すことのできないポイントの１つです。

こちらのカーペットは、91 x 152 cm という持ち運びにもとても便利なサイズです。
ソファやデスクと合わせて、また床座で楽しみそのまま少し寝転んだりと、暮らしの中の空間を穏やかな力強さで彩っていきます。
合わせる家具や調度品を邪魔せず、華やかさと心地よさを運び込み、生き生きとした時間を作り上げていくとても魅力的な１枚です。

使用染料:　藍　橡　大黄　茜

　　　　倉敷スタッフ　D

※　こちらのデザインはその他のサイズでも制作しておりますので、お気軽にお問い合わせください。